TEACHER'S COLUMN

温泉地のローカルな魅力が真似できない価値を創造し新たなイノベーションを起こす

藤本 武士 先生

国際経営学部 / アントレプレナーシップ・オペレーションマネジメント

#イノベーション #新たな価値創造 

私はマーケティングやイノベーションが専門ですが、大分県の温泉地は地域性を生かした興味深い取り組みが数多くあり、学びの環境として優れています。温泉は疲れを癒すだけではなく、立場を問わず話ができる独特な空間です。また単にお湯に浸かるだけではなく、癒しや食、体験といったさまざまな要素を一体的に楽しめるのも温泉地の魅力です。そして地域性をブランド化して、効果的に発信している温泉地があります。例えば昔ながらの日本の風景や暮らしが残る湯布院温泉では、豊かな自然と老舗の温泉旅館が外国人や若い世代からも人気です。また別府温泉ではAPUの学生も関わる湯治女子というコミュニティが活動中で、心と体を見つめ直す新しい湯治のスタイルを発信しています。

地域おこしは、人や物に恵まれた都会と比較しがちです。しかし地域の魅力は真似をするものではなく、自分たちでつくるものです。そして何もない場所で一から立ち上げる楽しみや、地域全体が一体となる達成感は、ローカルな場所だからこそ大きな可能性を秘めています。湯布院や別府での取り組みは、成功事例として今後は他県にも広がっていくかもしれません。

私のゼミでは、学生をなるべく現場に連れていくようにしています。企業を経営されている方から直接話を聞くことで、誰かに教わった知識ではなく、経験に基づいた言葉で議論する力が身に付きます。自分の感じたことを大切に、国や地域の異なる仲間と対話する中で視野を広げる。温泉地という絶好のフィールドに自ら飛び込み、イノベーションにつながるチャレンジをしてほしいと思います。

2004年からAPUで勤務。専門はマーケティングや経営学。近年は知られざる世界企業の発掘として、グローバルなニッチ企業や隠れた世界企業を調査。