TEACHER'S COLUMN

温泉旅行から考えるマーケティング戦略と消費者行動のつながり

Pajaree Ackaradejruangsri 先生

国際経営学部 / マーケティング分野

#マーケティング #消費者行動

マーケティングと聞いて多くの人が最初に思い浮かべるのは、企業の売り上げという言葉でしょう。しかしマーケティングはモノの販売だけではなく、顧客ニーズの理解やマーケットの選定、サービス、販売促進などさまざまな要素が関係しています。一例として、次の休日に温泉旅行をすると考えましょう。私たちはよくインターネットで「日本一の温泉地はどこですか」と検索し、口コミで高く評価されている場所を選ぶ傾向があります。日本には数多くの有名な温泉地がありますが、いつも別府温泉がトップに紹介されます。別府は小さい街ながら8つの温泉が存在し、それぞれ泉質や特徴も異なります。さらに利用料金や営業時間、割引制度、バスの乗り放題チケットの有無も気になるところで、事前に情報収集を行います。

そして休みの日。私たちは口コミ評価が最も高く、さまざまなアクティビティができそうな別府の鉄輪温泉に行くことを決めました。一日中温泉を巡りながら、溜まった疲れとストレスを発散します。ちなみにこの温泉地の決定には、商品やサービスについての口コミを広めてプロモートする、リファーラルマーケティングの効果が表れています。

1カ月後、別府の旅館からクリスマスシーズンのお得な宿泊料金やイベント情報の案内メールが届きます。これは顧客データとフィードバックを利用して長期的な顧客関係とロイヤリティを構築する、カスタマー・リレーションシップ・マーケティング(CRM)の一環です。このように、私たちの日常生活の至るところにマーケティングは活用されています。企業だけではなく、個人にとっても重要な分野なのです。

タイ出身。研究分野はマーケティング戦略や消費者行動、経営戦略、国際ビジネスなど。近年はタイ・フィリピン・日本におけるモバイルウォレット導入の比較についても研究している