DEEPEN 「問い」を深める
多彩なアプローチ

大学での主体的な学び方から、多様性・多文化のなかでの気づきと成長、
海外調査で広がる視野、研究の楽しさを知るゼミまで、
多彩なアプローチで問いを深め、ステップアップします。

INTERVIEW.02 主体的に学び、問う。
スチューデントサクセスワークショップ

  • 教育開発・
    学修支援センター

    立山 博邦 准教授

    2006年にブリティッシュ・コロンビア大学で博士号を取得。専門は文化人類学で、研究テーマは太平洋島嶼地域のグローバリゼーションとアイデンティティ、文化人類学の教育的価値など。2009年のAPU着任以来、全学の初年次教育を担当している。

    2006年にブリティッシュ・コロンビア大学で博士号を取得。専門は文化人類学で、研究テーマは太平洋島嶼地域のグローバリゼーションとアイデンティティ、文化人類学の教育的価値など。2009年のAPU着任以来、全学の初年次教育を担当している。

スチューデントサクセスワークショップ(以下、SSW)の
特徴を教えてください。

SSWは、新入生が大学での学び方を学ぶ必修科目の授業です。高校とは違って、大学は主体的に学び、問う(=学問をする)場です。したがって、主体的に学び、問うことができるようになることが「学生の成功(student success)」だと言えます。新入生が学生としての成功を実現するために必要な能力や態度を身につけることを支援するのが、この授業の目的です。

具体的にはどのような授業内容なのでしょうか?

授業形態としては参加型をとっていて、一方的に知識を伝達するような講義はしていません。教えられた内容を復習して学んでいくスタイルではなく、次の授業に向けて予習をしてくるのが基本となります。具体的には、レポートの書き方に関する動画を見る、「学びのデザインの仕方」に関するテキストを読む、この2つの予習内容についてグループでディスカッション、ワーク、発表などをする時間となっています。

授業が進むにつれて、学び方は変わっていきますか?

同じ予習内容であっても、それぞれの情報や考えを持ち寄ってディスカッションすることで、よりよい方法や気づきにつながっていきます。セメスター前半では、グループごとにテーマを決め、情報収集をしていきます。後半に入ると、前半でブラッシュアップした特定のテーマについて、個人個人でレポートを書きます。最終的には2,000字程度のレポートにまとめて発表を行い、フィードバックをもらいます。

レポートのテーマはどうやって決めていくのでしょうか?

テーマは何でもよいというわけでなく、社会的な意義や必要性のある問いを立てないといけません。とはいっても、新入生はまだスキルが少なく難しいため、例えばSDGsの17の目標の中から選ぶといった提案をしています。その中から絞り込んで問いを立て、どのようなテーマで広げていくかは主体性にまかせます。世代的にジェンダー平等をテーマとして選ぶ傾向にあるようですが、各々の視点や展開の仕方はもちろん一人ひとり違います。

SSWの授業で、工夫していることや心がけていることはありますか?

新入生の必修科目であることから、多様な学生がいてモチベーションもさまざまです。その前提で、どんな学生にも対応できるように授業をユニバーサルデザインにしなくてはならないと考えています。視覚的にもわかりやすい教材作成や自分の興味・関心のあるテーマでレポートを書かせるなど、興味を持つことができれば学生も変わっていきますし、成長を感じることも多々あります。SSWでグループワークの数をこなして、苦手意識を克服できた学生もいます。壁にぶちあたりながら経験を増やすのはとても大事なことです。

APUの学生に対する印象はどうでしょうか?

多様な学生がいる中で、やはり主体性は育ちやすい環境にあると感じます。枠にとらわれない学生が多く、刺激しあいながら、いろいろなことにチャレンジする人が集まっている印象です。ただ、積極的なタイプではない学生も当然いますが、自分は何もやっていない…と自信をなくす必要はまったくなく、授業やサークル、国際学生などさまざまな交流や経験によって良い方向へ感化されていくのではないでしょうか。

APUで学ぶ楽しさとは何でしょうか?

APUは世界にも類を見ないほどの多様性が強みです。初年次教育は一般の大学では珍しい学部横断で行います。全入学者をクラス分けして、さまざまな出身地や国籍の他学部の学生と一緒になって授業を受けるので、多様な交流ができます。APUの名物ともいえるSSWもそのひとつです。単に大学での学び方を学ぶだけでなく、やたらと多い課題を協力してこなす経験をシェアするから、長く付き合える友達ができる場でもありますね。若い人たちが多様な環境に身を置くことはとても貴重な学びになるので、活用しないともったいないですよ。