CONVERSATIONAPUが温泉地別府にある意義とは?

APUがキャンパスを構える別府市は日本第一位の温泉湧出量を誇る一大温泉地。
切っても切れない温泉文化との付き合い方、国際生とのコミュニケーションなどについて、
学生と教員それぞれの立場から語ってもらいました。

APU教授×APU在学生
なぜAPUを進学先として選んだ?
山村 私は福岡出身で、姉もAPUの卒業生です。なので、APUに対しては最初から良い印象がありました。姉が卒業したのは9年前ですが、学長がスリランカ出身で、学生も国内生(日本出身の学生)と国際生(海外から留学してきた学生)が半々だと聞いて、本当に国際的な大学なんだなと感じたのを覚えています。オープンキャンパスに参加して、すぐ受験を決めました。
箕浦 私は兵庫県出身です。飲み会とサークルと講義の繰り返しという、いわゆる普通の大学生活ではないことを経験したくて、APUを選びました。異文化交流にも興味がありました。
近藤 実際に入学してみて、どうでしたか。
山村 国際生との交流は、思ってもみなかったことばかりで驚きの連続でした!私はAPハウスに入寮したんですが、国際生に温泉の説明をするのがまずたいへんで。
箕浦 私も温泉と国際生では苦労しました。4月に入学してすぐ、ハウスで一緒に住んでいる国内生と、バングラデシュ出身の国際生と竹瓦温泉に行ったんです。……バングラデシュの彼が脱衣所から湯船に入るまで、およそ30分に及ぶ葛藤がありました。
佐藤 国際生あるあるだよね。公衆の前で裸になってお湯につかるという文化自体、ほとんどの国にはないわけだから。
山村 私もネパール出身の国際生を誘って行きましたが、まずは「温泉とは何か」ということの説明から始める必要がありましたね。
近藤 それに、別府の温泉には独特の入り方があるよね。いわゆる「別府ルール」。脱衣所と浴場の間に扉がなくそのままつながっていたり、浴場に入る前に挨拶したり。
山村 最初は私も戸惑いました(笑)。でもそれからすっかり温泉好きになって、講義を入れてない空きコマには明礬温泉に入りに行ったりしてましたね。そのためにバスの定期券も買いました。
佐藤 大学への行き帰りに温泉に行く学生は多い。講義の前に朝風呂に入ってくる先生もいますね。「別府八湯温泉道」で88カ所の温泉を巡って、名人認定を目指す学生も多いでしょう。
近藤 温泉道は、スタンプを集めて段位認定されるとタオルをもらえるのがうれしいんだよ。名人になると「ひょうたん温泉」に名前が掲示されるしね。
箕浦 30分葛藤した彼は残念ながらあまり温泉好きにはなってくれませんでしたが、温泉にハマって卒業後もたびたび別府に遊びに来る国際生は多いと聞いています。
佐藤 「別府は第二の故郷です」といって、卒業後も帰ってくる国際生がいるのは本当にうれしいですね。
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国際生とのコミュニケーションどうしてる??
箕浦 まず第一印象は「話が通じない!」。いや、言語的なことではなくて、元になる常識がまったく違う。APUでは1年次にまず国内生と国際生が合同でワークショップを行うんですが、これが大変でした。
佐藤 APUでは必須の科目、MCW(多文化協働ワークショップ)ですね。あれが最初の洗礼です。国内生と国際生半々の24人でグループをつくり、共同で課題に取り組む。TA(ティーチング・アシスタント)もつきますが、これも国内生と国際生が1人ずつ。国内生の英語も、国際生の日本語もどちらもまだ未熟だから、コミュニケーションの取り方は本当に難しい。
山村 私たちにとって普通のことが、彼らにとっては普通じゃない。ミーティングの時間に遅れてくる国際生に注意したら、「日本人の方が時間にルーズでしょ。終了時間通りには絶対終わらない」と言い返されてハッとしました。
近藤 日本人の学生だけだったら、なかなか気が付かないことだと思います。
箕浦 私は天空祭実行委員の活動を通して、コミュニケーションの難しさと大切さを感じました。実行委員のメンバーは6対4で国際生の方が多く、そういう意味ではMCWよりもシビア。感じたことは、国内生と国際生では複数のタスクに対する優先順位のつけ方が違う、ということです。国内生は労力を均等に割り振って解決しようとする傾向がありますが、国際生はプライベートも含めてハッキリ優先順位をつけます。
佐藤 これはどちらが正解だという問題じゃないね。
箕浦 私もそう思ったのですが、問題はメンバー間でその認識を共有できるかどうかでした。あるメンバーが「私はこれだけがんばってるのに、Aさんはいつも早く帰ってる!」と不満を持ったときに、「いや、Aさんはプライベートの方が優先順位高いから」といって納得できるかどうか。
山村 日本人だと、「それは不公平だ」って思ってしまいがちですね。
近藤 そして、お互いの意志を尊重するだけでは物事は前に進まない。優先順位の違う個人同士だと認めた上で、課題の解決に向けてどうアプローチしていくか、これはMCWでも重要なポイントですね。利害が対立する人同士をあえて対決させることで問題点をあぶりだし、解決策を見出していくことも必要になる。
山村 当たり前ですけど、国際生でも出身国や本人の性格によっても全然違うんですよ。完璧主義で全科目“優”を目指すシンガポールの国際生と、「単位が取れればいいかな」というバングラデシュの国際生が一緒になったときは、もう……(笑)。「国際性」という言葉の意味を、APUに入るまでは「英語が話せてコミュニケーションが取れること」だと思っていました。でも今は「日本の常識にとらわれない、国際的な物事の見方をできるようになること」だと分かりました。
箕浦 MCWの追い込みの時期は、国内生も国際生も入り乱れてAPハウスのロビーが毎晩大混雑なんですよ。もうとにかく身振り手振りから筆談まで、使えるものはなんでも使ってコミュニケーションしています。
佐藤 学外でも国際生の姿を見かけることはよくありますね。温泉旅館のアルバイトでは、先に入っていた国際生が国内生に仕事を教えたりすることも多いようです。
近藤 卒業した国際生が、別府で母国の料理を出すレストランやバーを出店している例もありますね。こうやって国際生を交えたコミュニティが別府にできていくのは、凄く良いことだと思います。
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