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アジア太平洋学部(APS)
教員の研究から理解するAPSの学び

アジア太平洋地域を学ぶことで世界の課題が見えてくる。 世界のあるべき姿を追求し、その実現をめざすリーダーに。

アジア太平洋地域の課題は、世界に通じる課題。世界が今後進むべき道を追求する研究が、APSでは繰り広げられています。

持続可能な環境保全と開発を、 国際的な人材ネットワークで実現するために。

●主な担当科目/地球環境問題、地球科学、GIS. Environmental Analysis
●研究領域・研究テーマ/地球環境気候システム学、地球環境気候変動、地球温暖化、熱帯雨林、大気・水汚染、自然災害、野生動物と環境、アフリカの環境開発、GIS、リモートセンシング

母国コンゴ民主共和国のあるアフリカの干ばつ問題を地球物理学の領域である大気科学の観点から研究し、それが従来言われていた樹木の伐採によるものだけでなく、地球規模での環境問題との関連で究明されなくてはならないということをつきとめ、京都大学で博士号を取得。以降、14年間三重大学の教員として、地球や地域規模の環境気候動態研究に取り組み、熱帯雨林、三重県の森林が環境にもたらしている影響を詳細に分析する研究を県と共同で行ってきました。そしてAPUの教壇に立ったのが2007年。世界から集まった環境問題に関心を持つ学生たちとともに、科学的根拠に基づく環境問題解決策を追究しています。

私が重視するのは、気候と環境システム(生物圏)における変動・動態及びその相互作用です。たとえば地球温暖化と砂漠化の問題を別々に理解するのではなく、その関連性を解明しながら解決策を探るという方法です。
つまり木をどんどん切って森林を伐採すると、地球温暖化をもたらす温室効果ガスである二酸化炭素が吸収されなくなるばかりでなく、太陽光が樹木の葉でさえぎられることなく地面に直接当たることで赤外線を放射し、大気を温め、気温の上昇が生じます。その上、雨水を吸い込んで再び大気に水分を蒸発散で放出するという樹木の機能が失われるために、大気中や土壌中の水分が減少し、大気・土壌の乾燥化が始まります。これによって、雨量減少、干ばつや土壌の砂漠化現象がもたらされます。新たな樹木が生えない環境となります。その結果ますます干ばつ・乾燥化及び森林減少という悪循環が生まれるのです。

ですから、「木を切る」ことだけを見ていると2050年ごろ消滅すると言われているアマゾン流域の熱帯森林も、気候変動との相互作用とあわせて考えると、さっき説明した環境破壊と気候変動という悪循環で、2050年よりずっと早い時期に消滅してしまうと伺えます。

もうひとつ、京都議定書に代表される国際的な環境問題への対策は、そうした間違った見解に基づいたものが少なからずあるのです。具体的には、植樹によって削減される温室効果ガスの総量を、それぞれの樹木の1年あたりの削減効果に樹木の寿命を掛け合わせ

ただけの単純な計算式で求めている例が挙げられます。実際のところ樹木は種によって、一定の樹齢を過ぎると温室効果ガスの削減効果が低下し、よりも環境への負荷が上回ってしまうことが多数であります。しかし、京都議定書に従うならば一度植えた木は100年間木を切らないという仕組みになっています。私は、返って、合理的かつ環境に優しい人工林管理には、まず早成長樹種を選び植林する。そして、ある一定の樹齢を過ぎたら、木は切って有効活用し、二酸化炭素をどんどん吸収する若くて元気な木に植え替え、何回も循環させることが良いと思っております。

私は、こうした自然環境と気候変動の相互作用を、衛星が収集したデータとそれを分析する地理情報システム(GIS)を使って研究しています。衛星データは1970年代の頃からのものが保存されており、研究者への公開も進んできていますし、それを処理する情報技術の進歩にも目覚ましいものがあります。APUでは、こうした豊富なデータを最新のGISシステムを用いて分析し、現地調査に出かける前にも過去から現在の各地の気象や森林をはじめとする自然環境の姿をコンピュータ上に映し出し、様々なデータを重ね合わせ、解析・評価し、未来を予測することができるのです。

今年3月、インドネシアやオーストラリアに赴いて、植林が行われた地域で調査を行い、それが環境気候システムにどのような効果をもたらしたか、今後はどんな樹木を、どんな場所に植えて、どのように管理していけばいいかを提言しているほか、実際に植林活動も行っています。私が思い描いているのは、自然の本来的なはたらきに従いつつ、効果的に森林を増やし、管理していく社会の姿です。それもこれ以上深刻な問題が起きる前に、自然の機能を考慮した科学技術の力でそれを予測し、適切な方法を実行していくこと。それが大切なことなのです。

環境問題の解決は、多くの人のネットワークがなければ実現しません。科学者だけでなく、政治、行政、ビジネス、教育、農業、林業といった幅広い分野での協同が不可欠です。そしてAPUは、こうしたネットワークの拠点になりうると信じています。学生の皆さんには、私の授業やゼミを通じて地球物理学の知識と情報処理技術をしっかり身につけていただき、持続可能な環境の保全と開発をリードする人材として世界各地で活躍していただきたいと願っています。

変化するメディアと戦争。 その過程と関連を見極める。

●主な担当科目/メディア論、マス・コミュニケーション論、Media Studies
●研究領域・研究テーマ/Algorithmic Culture, Newmedia and Political Violence, Video Games and Narrative

アメリカのベトナム戦争敗戦理由の一つとして、メディアが戦地の悲惨な様子を報道したことで、国民の反戦気運が高まったことが挙げられます。この経験から第一次湾岸戦争においては、アメリカ政府による情報統制の行われた一方的な報道が行われました。しかし、インターネットの普及で状況は変わります。第二次湾岸戦争でアメリカは市民犠牲のない「きれいな戦争」を掲げますが、イラク側が犠牲になった市民の映像を公表することでその正当性は崩壊。このように戦争におけるイメージ戦略は重要な問題となっています。学生には新たなメディアの力に頼るのではなく、それをどう活かすのかを考える力を身につけてほしいと思っています。

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